「氷の薔薇」と呼ばれ、美しくも不愛想な令嬢として有名なスカーレットは婚約者のパリスタン王国の第2王子・カイルに舞踏会という人の集まる舞台で一方的に身に覚えの無い罪をかぶせられ、婚約破棄を突きつけられてしまいます。
しかもカイルの傍らには新たな婚約者・テネネッツァの姿が…スカーレットは冷静に惨劇の始まりを告げました。
「この場を去る前に、最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか?」
テレネッツァのとりなしもあり、カイルは最後の願いを聞くことにします。
その願いとは、「テレネッツァをぶっ飛ばす」こと。
ご丁寧にテレネッツァの名前にはクソアマというルビまで振られ、次の瞬間スカーレットの拳がテレネッツァの顔面に文字通りぶっ飛んでしまいました。
さらにスカーレットはこの婚約破棄に加担した「畜生にも劣る豚野郎ども」を片っ端から殴り飛ばしていきます。
返り血を顔に浴びながら活き活きと豚野郎どもを殴る彼女はかつて「狂犬姫」と呼ばれていました。

狂犬にもほどがあるw
女性向けライトノベルのコミカライズであるこの作品は、繊細なタッチで描かれる典型的なレディースコミックではありません。
美しい御令嬢が、腐敗貴族を「肉」と呼び、嬉々として殴り飛ばしていく爽快感満載の作品です。
鉄拳制裁と巡らされた策略による痛快な逆転劇は、個人にとどまらず、宗教の対立や国家の存亡をかけた戦いにまで及ぶ、読み応えのある作品になっています。
第1王子・ジュリアスとのギャグじみた恋愛模様も見どころの一つです。
ネタバレ
婚約破棄と宰相の暗躍(1~3巻)
美しくも物静かな侯爵令嬢・スカーレットが第2王子からの一方的な婚約破棄を告げられるシーンから、この撲殺劇が始まります。
新しい婚約者テレネッツァをはじめ、第2王子のカイル以下関与した者たちを次々と殴り飛ばしていくスカーレットの姿は痛快。
裏を引いていた宰相を追い詰め殴り飛ばす過程で次々と得る物騒な二つ名には笑いが漏れてしまいますが、この悪徳宰相飛翔事件をきっかけにさらに大きな事件へと巻き込まれてことになります。
冒頭はスカーレットの強さや狂気がクローズアップされがちでしたが、ジュリアスのギャグめいた好意に戸惑うスカーレットの恋愛事情もみどころの一つです。
宗教対立とテレネッツァの加護(3~7巻)
救国の英雄となったスカーレットでしたが、宗教対立の中心に巻き込まれます。
自身もまた聖教の聖女であることを明かしつつも、敵対勢力は容赦なく殴り飛ばしていきました。
聖女ディアナに懐かれ、優しい表情で応対するスカーレットの姿はこの物語屈指の美しい姿ともいえるでしょう。
はっきりと敵対したテレネッツァは当然として、とうとう唇を交わしたジュリアスまでも笑顔で空のかなたに殴り飛ばしてしまうあたり、なかなか素直になれないスカーレットの可愛さ(?)をうかがい知れます。
ヴァンキッシュ帝国の後継者争い(7巻~)
以前ヴァンキッシュ帝国の第1皇子・アルフレイムから奪い取った飛竜のレックスの病を治すために帝国を訪れるスカーレットですが、後継者争いに巻き込まれてしまいます。
身にかかる火の粉は当然鉄拳で解決するスカーレットですが、新たな勢力にピンチを迎えてしまいました
窮地を救ったのは専門科目を「暴力」とするかつての家庭教師・グラハール。
彼の素性や魔族・神の暗躍は今後の物語の重要な部分になることを示唆しています。
終盤へと向かう物語の中で、スカーレットの成長・恋愛模様・鉄拳制裁がどのように繰り広げられるのか楽しみですね。
まとめ
アニメ化も決定し、物語もクライマックスに向かい始めました。
ただの個人的な怒りで拳を振るっていた狂犬姫が、正義と愛のために戦う聖女へと成長していく様は、下手な少年バトル漫画よりも熱血展開が続き目が離せません。



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