約15年前に「別冊マーガレット」で連載された「高校デビュー」。
「青空エール」や「素敵な彼氏」など、多くの人気少女漫画を手がける川原和音先生の作品です。
恋愛にまったく縁のなかった主人公「晴菜」と、その晴菜の恋愛コーチを引き受けた「ヨウ」。そんな二人の、笑いあり、涙ありのラブコメ漫画。
2011年には映画化もされたこの作品ですが、時が経った今読んでも「やっぱりいいな」と思えるシーンがたくさん。この記事では、「高校デビュー」全15巻を振り返りつつ、おすすめポイントをご紹介していきます!
<h2>ネタバレ注意!「高校デビュー」全15巻あらすじまとめ</h2>
中学でやり残したこと…それは恋愛!
「彼氏がほしい」とちょっと見当はずれな努力をする晴菜が、本当の恋を知るまでのお話を、要所要所をピックアップしながらご紹介します。
<h3>「高校デビュー計画」決行!晴菜とヨウの出会い</h3>
部活一筋で中学時代を駆け抜けた主人公・晴菜。
高校生になって「青春っぽい恋をしてみたい!」という強い思いを胸に、人生初の恋愛に挑もうとします。
まず晴菜がしたことは、ナンパ待ち。
一生懸命雑誌で「モテ」を勉強し、精一杯おしゃれをして、声をかけられるのを待っていましたが…誰一人として声をかけてくれません。それどころか、心なしかみんなが避けていくような…。
「どうしたら恋ができるの?」と悩んでいるときに出会ったのが、クール系イケメン・ヨウ。
恋愛経験豊富そうでカッコよくて、とってもおしゃれ!でも女嫌いで、近寄りがたい…。
ド直球な晴菜は、そんな彼に突然頼みこみます。
「私にモテを教えてください!」
最初は完全に興味がなさそうだったヨウ。コーチも当然拒否。
しかし、晴菜の一生懸命さや真面目な姿勢を見ていくうちに、コーチを引き受けてくれることになりました。
恋愛初心者の晴菜が、ヨウから「モテるためのアドバイス」を受けながら奮闘する日々がスタートします。
服を選んでくれたり、デートのアドバイスをしてくれたり、一見冷たそうだけど、面倒見がよくて、自分のありのままのよさを見てくれるヨウに、だんだん惹かれていく晴菜。
晴菜は、ヨウへの気持ちに気付きましたが「俺のことは好きになるな」と言われていた手前、思いを伝えることができません。
「気持ちがバレて、ヨウと離れるくらいなら、今のままの関係でいい」と、一度は気持ちを隠し通そうとしますが、それでも自分の気持ちをごまかせず、ヨウにまっすぐな想いを伝えるのです。
晴菜の気持ちを知ったヨウはうれしそうに笑って、二人は付き合うことになるのでした。
自覚はないですが、ヨウが晴菜をほっとけなくなっていく様子は読者にもバレバレです。
「晴菜、大丈夫だよ!」と思わず応援したくなる気持ちになるでしょう。
<h3>不器用カップルが「二人の形」をつくっていく</h3>
無事に二人は付き合い始めましたが、デートに行ってもなんだか友達関係のよう。
恋愛初心者の二人は「普通のカップルってどんなデートをするのだろう」と悩みます。
デートの失敗を反省したり、恋愛映画を見て勉強したり、ヨウの妹であり、晴菜の友達でもある麻美(あさみ)の姿を参考にしたりしながら一生懸命「彼氏彼女らしく」振舞おうとします。
でも、ありのままのお互いを好きになったことを思い出し、何かにとらわれるのではなく、自分たちらしく過ごすことを選ぶのです。
少女漫画といえば、付き合った二人に試練が訪れますよね。
でも「高校デビュー」の試練は、ほかの漫画とは一味違います。
イケメンで人気のあるヨウと付き合ったことで、上級生から靴やジャージを隠されるなどの嫌がらせが始まります。
ヨウには気付かれないように、ごまかそうとする晴菜がなんともいじらしいです。
そしてある日、上級生から呼び出しをくらう晴菜。でも、そんな相手にも真正面からぶつかります。
「晴菜が呼び出された」と知り、ヨウは探し回りますが、見付けた晴菜は傷だらけ。
ヨウがすべて気付いていると悟った晴菜は「勝ったよ」と笑うのでした。
嫌がらせにも屈しない、晴菜の心身の強さが描かれています。
ちなみに、この件から「ヨウの彼女はやばい奴」と認定され、嫌がらせはなくなりました(笑)
そして、ヨウが恋愛と距離を置くようになったきっかけである、元カノ・栗原が登場。
晴菜は街で偶然彼女と出会い「昔付き合っていた人が忘れられない」と知ります。
そんな彼女をほっとけなくて、その相手がヨウとも知らずに全力で応援します。
ヨウは、晴菜に心配をかけさせたくなくて元カノの連絡も断るのですが、なにせバックに晴菜がいるので、気弱な元カノも食い下がるのでした。
ようやく二人の関係に気付いた晴菜は悩みます。
ヨウからも「もう応援しないで」と言われてしまったからです。
でも「嫌な過去かもしれないけど、すっきりさせてほしい」と思うようになり、二人が会うことを後押し。
「ヨウが元カノにあっても、きっと大丈夫!」と信じる気持ちが表れていました。
「ライバル登場」や「すれ違い」といった「あるある」な展開も、予想外な方向に進んでいくのが晴菜。そこが応援したくなる魅力です。
<h3>恋か進路か?試される二人の絆</h3>
高校生活も終盤に差し掛かり、進路を意識する時期になっていきます。
これまで進路について漠然と考えていて、地元の大学に進むつもりだったヨウですが、学びたいことを見付けました。
でもそれを叶えるためには、東京の大学に進むことになります。
推薦で進学するチャンスも舞い込む中、ためらうヨウを、晴菜は迷いなく応援します。
その応援もあり、ヨウは上京を心に決めますが、ふとしたときに泣いてしまった晴菜を見て「東京には行かない」と言うようになりました。
しばらくは「行って」「行かない」の問答で、二人の関係もぎくしゃくするようになってしまいましたが、ヨウはついに決心します。
さみしい気持ちを抱えながらも「最高の遠恋にしよう」と言う、晴菜の笑顔に支えられるのでした。
14・15巻は「遠恋編」。
離れている間にもお互いが大事に思い合っている様子や、会いに行って東京デートを楽しむシーンが描かれています。
<h2>胸キュン必至!おすすめ名場面 </h2>
初めは晴菜の気持ちの方が大きく見えるのですが、いつしかヨウの想いも深くなっていきます。
余裕たっぷりだった「師匠的存在」なヨウが、彼氏としてまっすぐ晴菜と向き合う様子がたまらない!
そんな変化がひしひしと伝わるシーンを、厳選してご紹介!
<h3>ツンデレ崩壊?晴菜のペースに染まるヨウ </h3>
中学のときの恋愛経験がトラウマで「女なんて」と思っていたヨウ。
「クールで近寄りがたい」印象でしたが、まっすぐで素直な晴菜と一緒に過ごすことで、だんだんマイルドになっていきます。
晴菜がヨウに「彼女っていいね」と思ってほしくて、張り切ってデートの準備をしているとき、周囲の人からは「ヨウはそんなこと言わない」と言われてしまいます。
計画についてヨウに話すと、なんと「彼女っていいね」とポロっとこぼしたのです。
「キャラじゃない」といつもは恥ずかしがるけれど、晴菜といるとついつい恥ずかしいことも言ってしまうヨウが可愛らしいです。
<h3>サプライズ大成功!ヨウの真心プレゼント</h3>
晴菜との誕生日の過ごし方について話す中で「なんでもいい」と言う晴菜。
「ヨウと過ごせるなら」の意味でしたが、その言葉はヨウを悩ませます。
悩ませることに罪悪感が感じた晴菜は、第3希望まで書いた紙を渡すことにしました。
「晴菜の好きなところを言う」「ケーキを一緒に食べる」「バラを17本」という内容を知った周囲は「ヨウのキャラじゃないな」と頭を抱えます。
結局晴菜は「一緒に野球観戦がしたい」とナイターに誘い、ヨウもそれに応じることに。
ナイターではホームランボールをキャッチすることができて、晴菜は大満足でしたが、さらにヨウからのサプライズがあったのです。
ロッカーから出したのはバラの花束。
ベンチでケーキを開けながら、晴菜の好きなところを挙げていくヨウ。
晴菜から見ても読者から見ても「ヨウにはハードル高いな…」と思うことばかりなのに、晴菜に喜んでほしい一心でやり遂げるヨウに、感動間違いなしのシーンです。
<h2>まとめ|読後ほっこり!心温まる名作</h2>
「高校デビュー」は「胸キュンシーン」がたくさんあります。
でも、それだけではなく、恋愛に不器用な二人が本気で向き合い、関係を築いていく過程が丁寧に描かれた作品です。
元気で真っ直ぐな晴菜と、口数は少ないけれど優しさがあるヨウ。
対照的なふたりのやりとりに笑ったり、すれ違いにドキドキしたり…
そして最後には、しっかりと心が温まります。
「尊い青春」を思い出したい方に、おすすめしたい作品です!