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『BASARA』真実の愛が巻き起こす奇跡!同じ理想を思い描く2人が争う意味とは?

『BASARA』真実の愛が巻き起こす奇跡!同じ理想を思い描く2人が争う意味とは?

『BASARA』という漫画作品を読んだことがありますか?

1990年9月から1998年6月まで別冊少女コミックに連載され、その人気から1991年3月には単行本が発売されました。

作者は、7SEEDSやミステリという勿れでお馴染みの、「田村由美」さんです。

この漫画を読むと、一番大切にしたいものは何か、誰のために何ができるか、信用することの大切さについて考えさせられます。

大切なものを守りたいだけなのに、誰かの大切な人を傷つけてしまうという現実のもどかしさと戦いながら、世界を変えるため成長していく2人の姿を描いた物語です。

生まれる前に発売された漫画にも関わらず、何度も読み返した筆者が『BASARA』の魅力について、ご紹介します。

目次

『BASARA』とは?

この物語の舞台は、文明が滅びた日本。

4つの州に別れた日本は、王の圧政に苦しみ続けていました。

そんな時代に、山陽地方の白虎の村では、双子の兄妹が生まれます。

兄「タタラ」は運命の子として育てられ、妹「更紗」は女の子だからと、タタラと対等に扱ってもらえないことにヤキモキする日々を送っていました。

そんな白虎の村に、「赤の王」が「運命の子・タタラ」を仕留めようと襲撃にきます。

両親と共に地下へ隠れていたタタラでしたが、赤の王の手下に見つかってしまい父親と共に首を取られてしまいます。

更紗はこの時、「タタラ」として生きると決めたのでした。

家族を襲った赤の王の顔を見て、復讐を原動力に動き出すのです。

「タタラは生きている!」と兄タタラの首を横目に、村人たちを先導する更紗。

更紗こそが、運命の子「タタラ」だったのです。

赤の王への復讐に燃えるタタラ。

理想の世界を作るために日本を統制しようとする赤の王。

日本を支配しようとする権力争いを背景に、それぞれの大切なものを守る愛の力を描いた物語です。

タタラを支える、温かく芯のある図太い仲間たち

決して完璧ではないタタラの周りには、タタラの真っ直ぐで温かい人柄に吸い寄せられるように、精鋭たちが集まります。

村で更紗の親代わりだった、角じい。

先を見据えることができる盲目のナギ。

タタラが殺された時、自ら片目を犠牲にして更紗を助けた揚羽。

最初から最後まで命をかけ、タタラを守るこの3人はキーパーソンと言えるでしょう。

「誰も殺されない」という理想の世界を追い求める旅のなかで、精鋭たちと仲間になっていきます。

更紗の一生懸命で素直な人柄に磁石のように引き寄せられるのでしょう。

「赤の王・朱里」と「タタラ・更紗」の出会い

タタラが白虎の村を襲った日、赤の王とタタラは初対面を交わしました。

更紗がタタラとなり村を出発する日、更紗は体の傷を癒すため、温泉へ向かいました。

そこで馬と温泉に現れた朱里と出会います。

朱里は女たらしでしたが、それに一切なびかない更紗に惹かれるのでした。

一方更紗も、今まで感じたことのない男らしさを持つ朱里が気になり始めます。

朱里は理想の世界を作りたいと、更紗は家族の仇を打ちに行くという話をしますが、お互いが「赤の王」「タタラ」だとは知りません。

トップに立つ2人が素顔でいられるのは、密かに会うこの温泉だけなのです。

何かと顔をあわせる朱里と更紗。

皮肉にもお互いの存在のおかげで、人の気持ちがわかるようになり、辛い時の励みとなるのです。

理想の世界を作る鍵となる4本の刀

更紗は赤の王に捕まった村人を助けに行こうとしますが、その結果多くの仲間を失ってしまいます。

更紗たちをかばい命を落としたタタラの祖父、長老が言い残した4本の刀を手に入れるため、旅に出ることになります。

1.「朱雀の刀」

2.「青龍の刀」

3.「玄武の刀」

4.「白虎の刀」

タタラが持つ白虎の刀以外の3本の刀を求める旅の途中で、運命を共にする仲間と出会います。

朱雀の刀を目指し、九州の桜島へ

朱雀の刀は九州の桜島にあると知ったタタラは、タタラと名乗り人を集めている少年に出会います。

その目的を確かめるため、タタラは少年「ハヤト」についていくことにします。

実はハヤトは病気にかかった母親を救うため、赤の王のいとこである「四道」に騙され、タタラと名乗りタタラを誘き寄せる役割をさせられていたのです。

このハヤトが、朱雀の刀の継承者でした。

得意の弓矢で四道を殺し、四道に殺されそうになったタタラを救います。

この時四道は、タタラが朱里が想いを寄せる少女、更紗であることに気付き殺すことを躊躇ったのです。

四道には必ず帰ると約束した婚約者・千手姫がいましたが、帰ることができませんでした。

死に際で全てを悟った四道の「わたしの死が彼女に優しく伝わればいいけど」という台詞に込められた、愛と強さに筆者は涙が止まりませんでした。

なんとか生き延びたタタラとハヤトは、外国に売り払おうとする海賊団に捕まってしまいます。

ここで、タタラのお姉ちゃん的存在となる「茶々」と、その恋人「座木」に出会います。

体がボロボロになりながらもお互いを守り、信頼できる仲間となります。

九州を訪れた目的である朱雀の刀は、海へ潜っていましたが無事ハヤトの手に取り戻すことができました。

青龍の刀を求め、関東へ

青龍の刀が関東にあると知ったタタラは、蒼の王に会うために関東を目指していた朱里と共に関東に乗り込みます。

しかし蒼の王は、人間狩りをさせて楽しむような残酷な趣味を持つ偽物の王でした。

この蒼の王は、国民を騙して恐怖で押さえつけていたことが更紗たちの手によって明かされ、殺されます。

ここで出会った浅葱は、朱里の弟で蒼の王という自らの身分を隠し、タタラの仲間に加わるのでした。

それぞれの目的を果たすため、一緒に関東に入った更紗と朱里ですが、またお互いの正体を知らないまま仲間の元へ帰っていくのでした。

浅葱との出会いは、更紗のこれからの人生において重要な出来事となります。

玄武の刀は東北、鹿角へ

タタラは玄武の刀を手に入れるため、ハヤトを東北の鹿角の地へ向かわせます。

しかしハヤトとともに鹿角へ行った仲間が1人で、血だらけになり何かに怯えた状態で帰ってきました。

鹿角のリーダーとの約束を破ったハヤトは、吹雪の中にある網走刑務所に捕まっていたのです。

助けに向かったタタラと揚羽、そして浅葱の3人も網走刑務所にとらえられてしまいます。

揚羽の助けを受けながらハヤトを見つけ、なんとか脱出を試みる更紗。

ここでの鍵となるのは、地下にある網走刑務所からこれまで唯一脱出できたという、あの角爺でした。

今回も助けに来た角爺のおかげで、網走刑務所に捕まった者全員で、無事脱出することができます。

そして長い話し合いの末、鹿角とも同盟を結ぶことができたのでした。

全てを失った朱里が新たに見つけたものとは?

更紗と出会い、恐怖で押さえつけるだけの政治では豊かな国を作ることは出来ないと思い始めた朱里。

しかし、側近の亜生はそんな赤の王に納得できず、他の家来を騙し赤の王への反逆を企てます。

この亜生の裏切りによって、赤の王は信頼していた部下も、これまでおさめていた蘇芳の国も全て失うことになるのでした。

今まで積み重ねてきたものを失った朱里は、ナギの師匠である医者「芭蕉」と共に沖縄へ向かうことになります。

朱里はこの沖縄で、政治とは王が国を作ることではなく、国民が王を選び国を作っていくという新たな政治の形を目の当たりにします。

外国との交流を積極的に行い、豊かで温かい国を感じた朱里は、理想の世界の見本を見つけたのでした。

また更紗も同じです。

戦いによって目が見えなくなった更紗は、芭蕉の治療を受けるため沖縄を訪れていました。

朱里と同じように新たな国の在り方を見て、理想の世界に近づく見本を見つけたと感じたのでした。

信じがたい現実、お互いの正体を知る瞬間

数々の戦いを繰り返し、いよいよ決戦の時。

お互いの軍が対立した時、赤の王の軍の先頭には朱里が。

タタラの軍の先頭には更紗が。

2人は信じられるはずもなく、思考が停止してしまいます。

そして、これまで出会った土地や話していた内容を思い出し、気づいていくのでした。

現実を受け止めることができず、生きる気力も判断する力も失ってしまう朱里と更紗。

自分の目指している世界を実現するためには、お互いを敵として戦わなくてはいけない。

しかし、目指す世界は同じなのになぜ2人は戦わないといけないのか。

大切な人を奪った相手として恨んでいるが、本当に復讐したいのか。

愛しているのに、許してはいけないのか。

こうした自問自答を繰り返す間にも、2人は様々な人と出会っていきます。

赤の王・タタラとしての2人の運命

姿は見えなくてもお互いのことを想い、命を助け合う2人。

更紗はある時、兄と父を殺された日から赤の王の手下にとらえられ、会えていなかった母親と再会します。

母親のおかげで、タタラとして生きていくためには朱里を許してはいけないという呪縛から解放されました。

お互いの正体を知り一度は復讐の意味も、戦う意味も見失った2人ですが、対立した2つの軍をひとつにするために戦うことを決意します。

お互いの心を確かめ合うような息ぴったりの決戦に、戦士たちは困惑しながらも戦うのでした。

そして新たな敵に襲われ、片腕を失いながらも最前線で戦った朱里。

これまで王に従うだけで自ら考えることをしなかった兵士たちに、自分で下す選択に自分で責任を持つこと。

王と兵士としてではなく、自分の意思を持てと伝えるのでした。

そしてこれまで支えてくれた仲間と協力し戦う更紗。

2人の真っ直ぐな姿に心動かされた2つの軍は、想いがひとつになったのです。

これまで自分の理想を実現するために行動してきた朱里と更紗。

たくさんの大切な人を失いながら、ここまでやってきました。

自分がしてきた選択は正しかったのか、失った命の重さを考えると罪悪感に飲まれそうになりますが、この2人の愛の強さに勝てるものはありません。

2人にしかわからない責任。

2人にしか分かり合えない苦しみを分け合いながら、幸せに暮らすのでした。

まとめ

いかがでしたか?

複雑に絡み合った運命が描かれ、難しく感じた方も多いのではないでしょうか。

それぞれがそれぞれの正義のために、全力を尽くすこの物語。

最期まで信念を貫き通した、四道に揚羽。

登場人物ひとりひとりに、人生のストーリーがあり、守りたいものがあります。

命を顧みず自分にしかできない役割を全うする姿は、尊敬という言葉でも軽く聞こえてしまうほどです。

何度読んでも心が震え、自分自身を見つめ直すきっかけをくれる『BASARA』。

ぜひ一度、読んでみてください。

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